テレマークスキー前転日記~ケガに注意!!

ヘタレスキー部も還暦.部員1~2人 @札幌

ロコソラーレ(女子カーリングチーム)は弱いのか強いのか

2020年11月6日(金)~8日(日)まで、日本最北の地に新しく完成した稚内カーリング場においてカーリングエキシビションマッチが開かれました。
トップチームだけが集まったこの大会、男子は4チーム、女子は3チームが参加しました。女子が1チーム少ないのは、富士急が参加を見送ったから。その富士急の主力選手たちは、ミックスダブルスの関東地区予選に出場することを優先したからでしょう。

久しぶりのブログは、アクセス解析してもまったく閲覧がない、カーリングネタについて。世の中的に需要がないから、というよりは、Yahoo!ブログからハテブロに乗り換えたので平昌オリンピック時のアクセス急増カーリング記事も、すでに力をなくしています(笑)。それでも懲りずに書くのは、やっぱ好きなんですね。

今回の試合は、試合形式を取った練習試合ですが、テレビ朝日がCSで二試合放送しました。そのほかにyoutube放送もあり、なかなか充実した放送体制でした。
女子の試合は、3チームがダブルラウンドロビンという二回戦総当たりを行い、上位2チームで決勝を戦う方式。

ロコソラーレvs中部電力

緒戦はひどいボロ負けしたんです。あまりひどいのでyoutubeみてません。聞くところによると、シートの状態が悪く、普通はセンターに向かって右から投げても左から投げてもカールするのに、ボーリングのようにセンターから逃げていったとか。

そんな状態のシート(アイス)でも、中部電力はしっかり適応したのだから、中部電力のほうが技術が高い、強い、と言う人もいますが、(たぶん)違います。中部電力はカマーと呼ばれるガードストーンの後ろに回り込むドローショットとテイクショットで作戦が組み立てられており、とてもシンプル。
一方のロコソラーレは、カマーとテイクのほかに、ブランクエンド戦略、相手に1点を取らせるフォース戦略、最終投をラクにする石配置など、戦略的で作戦に幅があります。素人のボクがみてわかるほど、いやらしいカーリングをします。
それを支えるのは全員の高い技術と、極めて高い戦略眼、そして経験です。

それが遺憾なく発揮されるのが、道銀戦、中部電力戦です。
いつも道銀(北海道銀行フォルティウス)とは前半がどちらに転ぶかわからない緊迫した戦い、中盤で引き離し、終盤はゲームをコントロールして手堅く勝つ。

中部電力とは、前半から中盤まで1点を取り合う(取らせる)フォースの連続、どっちかが2点を取ってから試合が動き、最後は道銀戦と同じくゲームをコントロールして手堅く勝つ。

今回は決勝でギリギリの戦いがありました。8エンドで決着がつかず、延長・エクストラエンドにもつれ込んだのですが、これもすべてロコソラーレの試合コントロールでした。
ロコソラーレ1点リードで迎えた8エンド。中部電力はハウス内に石を2つおき、逆転の場面をつくりました。ここでドローして勝利、というのが普通ですが、ロコはダブルテイクを狙います。そしてダブルに失敗して同点に(スチールされた)。
すでにわかった方もいるでしょうが、悪くても同点で、延長して後攻を選ぶのがこのチーム。すごくしたたかで、常に負けにくい選択を行う。

吉田夕梨花のウィックの役割

これを支えるのが吉田夕梨花のウィックですよね。
スキップ・藤澤五月がゲームをコントロールしにかかるとき、大きな大きな役割を果たすのが、相手のセンターガードをはずすウィックショットです。
相手が置いたガードストーンに横からコツンと当ててずらす。リードの2投ともガード外しができると、次からは鈴木夕湖がガードを弾き飛ばすピールショット。これが決まり続けると、スキップはたやすくブランクエンドにしたり、最終エンドに1点取って逃げ切ることができます。
ただ、セカンドの鈴木夕湖、サードの吉田知那美の全4投がうまくピールできる確率はそう高くはありません。1投とちるとそこから試合がもつれてきます。もつれた試合のなかで、ダブルテイク、ランバックというハイレベルショットを決めるのが吉田知那美の役割。
そして最後に藤澤五月が決める。
ロコソラーレのよくある試合展開です。点差が小さいから実力差も小さい、というわけではなく、ゲームをコントロールしているのです。

こういったゲーム展開ができるようになったのは、カナダ人コーチのJ.D.リンド氏の指導と、それを素直に受け入れた藤澤五月をはじめとするロコソラーレのメンバーの素直さでしょう。そしてもうひとつ忘れてならないのが、もともとディフェンシブといわれるロコソラーレに、もともとオフェンシブなスキップ・藤澤五月が加入した組み合わせの妙。

藤澤五月の黒い腹

昨年2019年からの藤澤五月のゲーム展開は、それまでとはまったく異なり、相手も自分もゼロを並べ続け、最後に1点差で勝つ展開が非常に増えました。前半は相手後攻のときに攻め続けます。自分が後攻のときは2点を取りに行きます。点が上回ったら、相手後攻のときは攻め続けますが、自分後攻のときはきわめてディフェンシブな戦い方、ゼロ行進・ブランクを狙います。2点を取りに行かないのです。ただし、チャンスだとみるや点取りに切り替える。

もうひとつ、非常にうなるのは、スキップ2投のときに石の配置です。うまく言葉と文字で表現できないので、こちらの動画を見てください。解説者とはまったく違う戦術眼で石を置いています。解説の持田靖夫さんは、藤澤五月の黒い腹がわからなかったようです。


Karuizawa International Curling Championships 2019 Women's Preliminary Draw w-5


去年の軽井沢国際、アメリカのチームシンクレア戦第3エンドの終盤、56分くらいからみてください。ポイントは藤澤五月のこのエンド最終投です。もし時間があれば、このエンドと前の2エンドをみてください。この試合は、2,3エンドでつくったアドバンテージを5,6,7エンドブランクでゲームをコントロールして8エンドに試合を終わらせるという典型的試合運びでした。

2022年の北京オリンピック

というわけで、エキシビションマッチはロコソラーレの優勝となりました。2位が中部電力、3位が北海道銀行
ロコソラーレと中部電力は相変わらずのシーソーゲーム。そして、中部電力も少し大人になった、むちゃをしない試合運びになったように見えました。
北海道銀行は最下位ですが、少し変わったかもしれません。このチーム、いつも秋は好調なのでまだ先を見てみないことには結論を下すわけにはいきませんが・・・

そして、2月に同じ稚内カーリング場で予定されている日本選手権は、2022年のオリンピック選考会を兼ねています。
ロコソラーレが勝った場合、自動的に代表確定。後はオリンピック出場枠を取るだけ。
ロコソラーレが負けた場合は、来夏以降に優勝チームとロコソラーレが戦って買ったほうが代表。

というわけで、中部電力北海道銀行も絶対に負けられない戦いが待っています。
もちろんロコソラーレも負けられませんが、上に書いたように崖っぷちは中電と道銀の2チームなのです。
ただね、2022年の北京オリンピックは開かれるのか。来年の東京オリンピックが中止なら、半年後の北京も中止、という声が強いです。
あーあ