テレマークスキー前転日記~ケガに注意!!

ヘタレスキー部も還暦.部員1~2人 @札幌

常呂町のカーリングホールに行ってきた

突然ですが、先日、オホーツク・北見(旧常呂町)のカーリングホールに行ってきました。
LS北見の選手たちが練習しているカーリング場を見てみたいという、オヤジ追っかけになったわけです。


イメージ 1


カーリングがブームになったころから、オリンピックのテレビ中継を見ては、短気なボクは最後まで見ることなくチャンネルを変えるのでした。ゲーム進行がゆっくりでかつ長く、そして展開を把握するのが難しいため、ずっと見続けるガマンができないのです。

そんなボクがかなりフルに見たのが、2013年秋に行われたソチオリンピックの国内代表選考戦と、世界最終予選でした。
地元・札幌の北海道銀行チーム「フォルティウス」が出場し、国内戦では中部電力を下して代表に。世界戦では何とかオリンピック出場を手にしたのでした。

スキップ小笠原歩選手のキャプテンシーというかリーダーシップがすごいなあと感心したし、いい試合をしていたと思います。
翌2014年にソチオリンピックが開かれ、大会終了後にはメンバーが2人入れ替わり、近江谷杏菜ちゃんと、吉村紗也香ちゃんというきれいどころが補強され、ビジュアル的にも国内最強かと思われました。

北海道銀行のチームができたころからずっと、何となく応援していました。

ソチが終わったあとに北海道銀行チームをやめた吉田知那美ちゃんがLS北見に移籍してがんばっているのは、北海道新聞のスポーツ欄を見て知りました。
「がんばっているなあ」と。

そして去年、2015年です。中部電力のスキップだった、すなわち北海道銀行チームに敗れてソチを逃した藤澤五月ちゃんが5月にLS北見に移籍。9月の代表選考戦を勝っていきなり日本代表となり、今年2月の日本選手権も取って(藤澤選手にとって24歳で5度目の日本チャンピオン!)、今年2016年3月の世界選手権に進んだのです。


イメージ 2
〈ホール2階のパネル〉


ここからの活躍は知っている方も多いと思いますが、あれよあれよという間に勝利を重ね、ついには世界最強のスウェーデン、カナダ、スコットランドにも完勝。決勝リーグに残ったのです。
結果、銀メダル。

ボクの心を打ったのは、チーム5人がリアル「スラムダンク」だからです。
あふれる才能、大きな挫折、屈辱、芽が出ない数年。そんな中で、奇跡のように5人が集まり、チーム力が爆発的に高まって日本史上初のメダルにつながります。

LS北見ロコ・ソラーレ北見)
2010年のバンクーバーオリンピックに出場したのち、マリリンこと本橋麻里によって北見市に同年チーム設立。当時高校生だった吉田夕梨花(吉田妹)、まだ旭川高専にいたはずの鈴木夕湖ゆうみ)は設立メンバーとして、マリリンといっしょに戦ってきた。強いチームだが、2015年の秋まで、一度も日本代表になれず。
カーリング界で最もスポットライトが当たった選手・本橋麻里。故郷に帰ってチーム立ち上げ。しかし、日本代表は中部電力(藤澤スキップ)と北海道銀行(小笠原スキップ)がとり続けました。代表ユニフォームを着ることのない5年間。
くじけそうになった時期があったようだが、それでも本橋、鈴木、吉田(妹)の3人はカーリングを続けた。

吉田知那美(吉田姉)
1991年生まれ24歳。中学2年生のとき日本選手権に同級生チームのスキップとして出場し、当時のオリンピックチーム(小笠原スキップ)に勝利。この年表彰台に上る。しかしその後メンバーの進路が多岐にわたったこともあり(逆に言えば彼女らの才能はカーリングにとどまらない)高校時代は中学を超える実績を残せず、同郷のライバルの後塵を拝す。高校卒業後カナダ留学中に北海道銀行のチーム立ち上げメンバーとして加入。
ソチオリンピックで活躍するが、大会閉幕前に戦力外通告。打ちのめされて地元に戻り、本橋に拾われる。ジェットコースターのような浮き沈みの激しい選手生活。輝く実績と大きな挫折を繰り返し、20代前半にしてみごとなほど人間として磨かれる。印象的な笑顔に隠された強さ。
吉田のインスタを見ていると、まっすぐな性格がよくわかる。妹も姉に劣らずまっすぐな性格。親が非常に立派な子育てをしたのだろう。

天国から地獄 衝撃の戦力外通告
応援せずにいられなくなる動画。
ただ、ちなみ(あえて名前で)を切った北海道銀行側が極悪だとボクは思っていません。むしろ、才能はあるがチーム構想からはずれる選手が、できるだけ早く新天地を見つけられるように配慮したと思います。
藤澤五月
1991年生まれ25歳。ほかの4人は旧常呂町出身だが、藤澤は旧北見市出身。高校時代にジュニアの国内・アジア大会を勝ち抜き世界戦に出場。そして、高校在学中?に中部電力にスカウトされスキップとして参加。高校を卒業したシーズンから日本選手権を3連覇。控えめに表現しても「若き天才」だろう。
ところが北海道銀行の小笠原スキップに敗れてソチオリンピック挑戦の権利を失う。ソチオリンピック後に開かれた日本選手権は意地の4連覇を果たすが、このシーズンでチームはほぼ崩壊。

市川美余 女王・中部電力破れる。。。?

若きスキップにとって高校卒業と同時に故郷を離れ、長野で年上の仲間に指示を出しながら勝利を重ねることがどれほどの重圧だったか。会社を取り巻く状況も福島原発事故で大きく変化する。そして、この挑戦の最後は挫折で終わる。本橋に誘われて故郷・北見に戻った藤澤の覚悟は、中途半端ではなかっただろう。

イメージ 72015年2月の日本選手権会場で。この大会を6位で終える。藤澤五月にとって2014-15年シーズンはどん底だっただろう。

そして藤澤が加入してすぐに本橋の妊娠が発覚。吉田(妹)、鈴木、吉田(姉)、藤澤というチームで戦うことになる。
鈴木、吉田(姉)、藤澤は同級生。吉田(妹)、鈴木、吉田(姉)は中学チームのチームメート。そのときのコーチがいまの小野寺コーチ。


チームの雰囲気を伝えるお宝写真を貼ってしまいましょう。Always keep smile !
イメージ 3
2015年12月、軽井沢での大会にて、左:藤澤五月、右:吉田知那美

あふれる才能を持ちながら、それ故に20代前半にして栄光と挫折を経験し、それぞれの事情でこのチームに集まった彼女たち。そのひたむきさ、純粋さ、折れない心、チームワーク。これはスラムダンクが描く世界とまったく同じです。
ゴリ、花道、流川、ミッチー、リョーチンといったきわめて個性の強い湘北バスケ部。そのなかでミッチー(三井寿)が主人公に劣らぬほど人気があるのは、輝く才能に押しつぶされて高校1年で挫折、2年間グレて高校3年でバスケ部に復帰。それからはまっすぐ自分のスタイルを磨き努力する姿勢に、挫折を知る多くの読者が共感するからだと思います。
戦力外通告で地元に戻った吉田知那美、オリンピック出場が断たれチーム崩壊を味わった藤澤五月。あふれる才能を必死に磨き、世界に挑戦してギリギリのところで決勝まで勝ち上がった5人。

湘北高校のレギュラーメンバーに勝るとも劣らぬ個性。しかもこちらはリアルの世界。
地味ですが根性論もなかなか。女性たちなので情報があまり露出しませんが、夏場はすごいフィジカルトレーニングをしているらしいです。
イメージ 4


本橋麻里
1986年生まれ30歳。19歳で出場したオリンピックで一躍スターとなり、カーリング界の顔になる。才能と美貌と巨乳?で有名だが、自らチームを作りスキップを務めた5年間は輝けなかった。勝負弱いとさえ言われた。
ところが本橋にはとんでもない才能がもうひとつ隠されていた。吉田と藤澤を連れてきたスカウト能力のすごさ! そして、自分は控え選手にまわりチームで栄光をめざそうという滅私の覚悟。本橋がチームを作ったから、6年後の栄光が生まれた。すべては本橋から始まっている。
本橋からすれば、自分がはずれて代わりに藤澤がスキップに入ったら1年たたずに世界2位。これはかなりしょっぱいだろう。でもここに本橋の本当の強さを感じる。スポンサーを集め、地域の協力を仰ぎ、チームをマネジメントし、試合でも責任を背負ってきた。出産を機に試合の責任を全員に等しく渡し、チームの仕事も若手が一部分担したという。リーダーシップは吉田姉が、戦略は藤澤が担うようになった。
本橋はいま、チームの栄光の先にもっと大きいものをめざしているように思う。

ロコ・ソラーレ北見 本橋麻里 涙の真実 カーリング女子

天才の評価がある一方で、国外で勝てないチームとも言われた藤澤。その藤澤は、チームが変わった初年度に結果を出しました。実力、相性ともにこの上なくいいチームに加わったようです。
いっしょに作戦を組み立てるのが吉田(姉)。このふたりは奇跡のように相性がいいように見えます。社交的でコミュニケーション能力が高い。その一方で一途に突き進む感のある吉田(姉)。作戦立案、アイスの判断、ストーンを投げる能力、すなわちカーリング選手に必要なすべてを備えた藤澤。きわめて堅実に役割をこなすことができる吉田(妹)と鈴木は、加えてアイスの判断が正確であるため、ゲームをつくっていく能力が非常に高い。
野球でいえば、1番2番バッターの吉田(妹)と鈴木、3番4番バッターの吉田(姉)と藤澤。その適材適所がチームの総合力を高めていると思います。

第33回 全農 日本カーリング選手権大会 大波乱の準決勝
2016年の日本選手権.LS北見 VS 北海道銀行

3月にカナダで開かれた2016年の世界選手権は決勝まで進みます。最後の1投を終えたあと、ストーンは意図した停止位置を通過。優勝はスイス。藤澤の目からこぼれる涙。スキップを抱きしめる吉田(姉)と鈴木。
これほど美しい涙を見たことがありませんでした。
今年の世界選手権でも、チームは栄光と同時に悔しさを味わいました。しかしその悔しさはこれまでとは少し異なり、キラキラ光っていました。

2016年世界女子カーリング決勝
この動画は必見!


と長々書いてきました。
こんなことを追っかけているうちに、彼女たちのホームタウンにしてホームリンクの、常呂町カーリングホールにどうしても行ってみたくなったわけです。
通年営業の新しいホールですから、とても立派でした。
イメージ 5


テレビ映像から、オホーツク海に面した町外れにあるように思い込んでいましたが、まちなかにあります。
高校生や社会人が練習している様子を見てきました。雰囲気はいいですね。

今週の7月15日からはシーズン幕開けの大会が常呂町カーリングホールで開かれます。世界2位のチームは今年、どんな試合を見せるのか楽しみです。
また、来年冬には札幌で冬季アジア大会があります。日程が合えば見に行こうと思っています。

それにしても、吉田(姉)はまっすぐだなぁ。6月にNHK BSで放送された世界選手権を選手たちが振り返る番組のなかで、決勝7エンドで自分が投じた2投が結果として負けを招いたことを自らの口で語りました。
7エンド吉田(姉)の1投目が手から離れ、ストーンがハウスに向けて進んでいく。スイーパーは鈴木と吉田(妹)。ストーンが真ん中くらいに来たときに、投げた吉田(姉)とハウスにいる藤澤のスイーパーへの指示が突然正反対となる。
「ちょっと待って」藤澤の叫びをマイクが拾っている。
ストーンの進行方向が突然変わったのを藤澤は見逃さなかった。スイーパーへの指示が遅れたタイミングは1秒ちょっとか。

イメージ 6

にがい表情で自分の指示がどう間違ったのかを説明する吉田(姉)。
ボクはこの番組を見て、ロコ・ソラーレ北見がますます好きになりました。
彼女たちを応援したいと思いました。

※画像の中には著作権法に触れるかもしれないものもあります。指摘されたらすぐに撤収します。